電気・電子・基板設計とは?メーカーにおける役割
電気・電子・基板設計は、
「製品の頭脳と神経(回路・基板)を設計する仕事」
です。
- どんな電気・電子回路にするか(回路設計)
- その回路をどんなパターン・レイアウトで基板上に実装するか(基板設計)
- 製品として安全に・安定して動作させるための評価・対策(評価・ノイズ・EMC など)
といった業務を通じて、
- 自動車・車載機器
- 産業機械・FA・ロボット
- 家電・民生機器
- 医療機器・計測機器・通信機器
など、さまざまな製品の「中身」を作り込んでいきます。
電気・電子・基板設計の具体的な仕事内容
電気・電子系の設計職は、会社によって
- 回路設計
- 基板(PCB)レイアウト設計
- FPGA・論理設計
- 評価・解析・ノイズ対策
などの役割分担が変わりますが、代表的な内容を整理します。
1. 電気・電子回路設計
- 製品仕様から必要な機能・性能を整理
- システム構成(マイコン・電源・センサ・通信・インターフェース など)の検討
- 回路図設計(アナログ回路・デジタル回路・電源回路 など)
- 部品選定(IC・トランジスタ・抵抗・コンデンサ・コネクタなど)
- シミュレーション(SPICE など)による動作確認
アナログ寄り/デジタル寄り/電源寄りなど、
人によって得意分野が分かれることも多い領域です。
2. 基板(PCB)設計・レイアウト
- 回路図データをもとに、基板のレイアウト・配線パターンを設計
- 部品の配置(熱・ノイズ・実装性・メンテ性を考慮)
- 信号線の引き回し(インピーダンス・配線長・クロストークなどを考慮)
- 電源・GNDパターンの設計、ノイズ・EMC対策
- 基板製造メーカー・実装メーカーとのやり取り
使用するCADは企業によって異なり、例えば
- CR-5000 / CR-8000
- Allegro / OrCAD
- PADS
- Altium Designer
などがよく使われます(他のツールも多数あり)。
3. FPGA・論理設計(デジタル回路の一分野)
デジタル回路設計の中でも、FPGA(Field Programmable Gate Array)を使った論理設計を担当するポジションもあります。
FPGAは、出荷後でも中身の論理を書き換えられる「プログラマブルなデバイス」で、
- 高速・リアルタイム処理が必要な部分
- 将来的な仕様変更・機能追加が見込まれる部分
- ASIC化する前のプロトタイプ・評価段階
などで使われることが多いです。
FPGA・論理設計エンジニアの主な仕事は、
- 仕様に基づいたアーキテクチャ検討(どの処理をFPGA側に持たせるか)
- Verilog / VHDL などでのRTL設計(状態遷移・パイプライン構成など)
- テストベンチを用いたシミュレーション・検証
- 合成・配置配線ツールを使ったタイミング検証
- 実機評価(ボード上での波形確認・デバッグ)
といった流れで、ソフトウェアとハードウェアの“間”に位置する職種です。
求人としては、車載機器、通信機器、産業機器、画像処理・検査装置などでニーズがあり、
- Verilog/VHDLでの実務経験
- Xilinx/Intel など特定ベンダのFPGA経験
- 高速インターフェースやノイズ・タイミング対策の経験
がある方は、電気・電子設計の中でも比較的高く評価される傾向があります。
4. 試作・評価・ノイズ対策
- 試作基板の実装後、電源を入れて動作確認
- オシロスコープ・ロジックアナライザ・スペアナなどを使用した信号測定
- 温度・負荷・ノイズ条件を変えた評価試験
- EMI/EMC試験(電磁ノイズ関係)の事前対策・試験場対応
- 問題が出た場合の原因切り分け(回路・レイアウト・部品・ソフト・FPGA論理 など)
ここでの結果を踏まえ、
回路変更やレイアウト変更、FPGAロジックの修正を繰り返しながら完成度を高めていきます。
開発フローの中での立ち位置
電気・電子・基板設計は、開発の中で次のようなフェーズに関わります。
- 仕様検討・システム設計
- 回路設計・部品選定
- 基板レイアウト設計・FPGA論理設計
- 試作・評価・ノイズ・EMC対策
- 量産向けの最終図面・BOM(部品表)の確定
- 量産トラブル対応・派生モデル対応
上流から下流まで、製品のライフサイクル全体に関わる仕事です。
1日の仕事のイメージ
例として、電気・電子・基板設計エンジニアの1日をイメージすると…
- 午前:
- メール確認(試作状況・製造現場からの問い合わせなど)
- 設計レビューや仕様検討の打合せ
- 回路設計や回路図の修正作業
- 午後:
- CADでの基板レイアウト検討・修正指示
- 評価室での実測評価(オシロやテスタを使った測定)
- 不具合の原因調査・対策内容の検討・記録
- FPGAを使う案件では、シミュレーション結果やタイミングレポートの確認
プロジェクトのフェーズによって、
- 設計作業中心の日
- 評価・デバッグが中心の日
- 打合せ・レビューが多い日
など、日々の比重は変わります。
転職市場と年収イメージ
電気・電子・基板設計は、以下のような業界で常に一定以上のニーズがある職種です。
- 自動車・車載電子部品
- 産業機械・FA・ロボット
- 医療機器・計測機器・分析装置
- 通信機器・ネットワーク機器
- 民生機器・家電・音響機器 など
年収の目安(あくまで一般的なレンジ)は、
- 20代:400〜750万円前後
- 30代:500〜1,200万円前後
- 40代以降:600〜1,800万円前後(役職・専門性による)
といったケースが多いです。
同じ「電気・電子設計」でも、
- どの業界・製品を担当してきたか
- 回路設計だけか、基板レイアウトや評価・FPGAまで見ているか
- アナログ/デジタル/電源/高周波など、どの領域が得意か
によって評価や年収レンジが変わります。
転職市場で評価されるスキル・経験
電気・電子・基板設計で評価されやすいポイントの例です。
- 実務で使用してきた回路CAD・基板CADの種類と経験年数
- アナログ・デジタル・電源など、得意な回路分野
- 担当してきた製品分野(車載/産機/医療/民生 など)
- 回路設計〜基板設計〜評価のどこまで一貫して担当してきたか
- EMI/EMCやノイズ対策の経験
- 不具合解析・改版対応の経験(どんなトラブルをどう解決したか)
- FPGA・論理設計の経験(あれば強みとして評価されやすい)
特に、以下のようなエピソードがあると強いです。
- 「ノイズ対策により、EMC試験を一発合格させた」
- 「部品変更・回路改善で故障率を○%改善」
- 「基板レイアウト見直しで、ノイズマージンを確保・誤動作を解消」
- 「FPGAロジック見直しでタイミング違反を解消し、安定動作を実現」
電気・電子・基板設計に向いているタイプ
この職種に向いているのは、例えばこんなタイプです。
- 回路図・基板パターンを見るのが好き
- 「なぜこう動くのか」を理屈で考えるのが好き
- 細かい配線・レイアウトの違いが気になるタイプ
- 機器を分解したり、中身を見るのが好きだった
- 評価・実験で測定器を触ることにワクワクできる
- FPGAやデジタル回路の“パズル感”が好き
逆に、
- コツコツ考え続ける作業が苦手
- 細かいルール(配線ルール・設計ルール)が極端にストレス
という場合は、より上流のシステム設計や、
ソフト・IT・DX系の職種のほうが合う可能性もあります。
他職種・未経験からのキャリアチェンジ
電気・電子・基板設計へのキャリアチェンジ例としては、例えばこんなパターンがあります。
- 評価・テストエンジニア → 設計側に回りたい
- 生産技術・試作・実装現場 → 回路・基板の設計にも関わりたい
- 組み込みソフトエンジニア → ハード寄りにも広げたい
その場合は、
- 電気・電子回路の基礎(オームの法則・トランジスタ・OPアンプなど)
- 図面・回路図の読み方
- 簡単な回路設計・基板設計ツールの学習(個人開発レベルでもOK)
- FPGAに興味があれば、開発ボードを使った簡単な論理設計の学習
などを押さえつつ、
「なぜ設計側に軸足を移したいのか」
「今の経験がどう設計の現場で役立つのか」
を具体的に言語化しておくことが重要です。
キャリアパスの例
電気・電子・基板設計として経験を積んだあと、
キャリアは大きく分けて次のような方向に広がっていきます。
- 特定分野に特化したスペシャリスト
- 例:電源設計、アナログフロントエンド、高速デジタル、RF・高周波、FPGA など
- 上流のシステム設計・アーキテクト
- プロジェクトリーダー・設計チームマネージャー
- 技術営業・FAE(顧客に近い技術職)へのキャリアチェンジ
- 生産技術・品質保証など、モノづくり全体を見る職種へのシフト
どの方向に進むにしても、
「どの製品分野で、どの技術領域を武器にしていきたいか?」
というキャリアの軸を早めに持っておくと、
転職でも社内異動でも選択肢が広がります。
🔍 自分の電気・電子・基板設計の経験が、
どの業界・どのポジションで一番評価されそうか、
あるいは「今の会社で専門性を深めるべきか・転職で環境を変えるべきか」悩んでいる方は、
キャリア相談 で、経験の棚卸しとキャリアの方向性を一緒に整理していきましょう。

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