メーカー品質保証の仕事と転職ガイド

品質保証とは?メーカーにおける役割

品質保証(QA:Quality Assurance)は、

「うちの製品は、このレベルの品質を守ります」と社外に約束し、その約束を守るための仕組みをつくる仕事

です。

  • 顧客クレーム・不具合対応の窓口
  • 顧客監査・社内監査への対応
  • 品質マネジメントシステム(ISOなど)の運用
  • 仕様書・検査基準・契約の妥当性確認

などを通じて、会社としての品質の“看板”を守る役割を担います。


品質保証の具体的な仕事内容

1. 顧客クレーム・市場不具合対応

  • 顧客からの不具合報告・クレームの受付
  • 関係部署(品質管理・製造・設計・生産技術など)への調査依頼
  • 原因分析結果・再発防止策の取りまとめ
  • 顧客への報告書作成・説明・交渉

単なる「謝る役」ではなく、

「事実はどうか?」
「どこに責任があるか?」
「再発防止のために何をするか?」

を整理して、社内外に説明していく立場です。

2. 顧客監査・社内監査への対応

  • 自動車メーカー・大手顧客などによる品質監査対応
  • 社内の品質監査の計画・実施
  • 指摘事項への対応状況のフォロー

顧客側の品質要求(IATF16949、医療・航空などの規格)を理解し、
自社の仕組みが合格ラインにあるかをチェックしていきます。

3. 品質マネジメントシステムの運用

  • ISO9001などの品質マネジメントシステムの運用・改善
  • 手順書・規程類の整備・改訂
  • 全社的な品質方針・品質目標の展開サポート

品質保証は、「現場の品質管理」だけでなく、
「会社としての品質のルールづくり」にも関わります。

4. 契約・仕様段階でのリスクチェック

  • 顧客仕様書・契約内容のレビュー
  • 過剰な品質要求になっていないかの確認
  • 自社で守れない要求がないかのリスクチェック

ここが弱いと、

  • 「契約上は保証しないといけないが、実際には非常に厳しい条件」
  • 「過剰品質で利益が出ない」

といった問題につながります。


品質保証と品質管理の違い(再整理)

改めて、役割の違いを整理するとこうなります。

  • 品質管理(QC)
  • 現場の中で、品質を作り込む・安定させる
  • 検査・測定・工程改善・データ管理が中心
  • 品質保証(QA)
  • 社外に対して品質を約束し、その約束を守るための仕組みを整える
  • クレーム・監査・品質システム・契約面の対応が中心

実際の現場では、この2つがグラデーション状に混ざっている会社も多いですが、

・工場の中で不良を減らす → QC要素が強い
・顧客・規格・契約と戦う → QA要素が強い

くらいのイメージで捉えるとスッキリします。


品質保証の1日のイメージ

品質保証の1日は、打合せ・調整が多めです。

  • 午前:
  • メール確認(顧客・社内)
  • クレーム・不具合に関する社内打合せ
  • 顧客への報告書ドラフト作成
  • 午後:
  • 顧客とのオンライン会議(不具合報告・再発防止策説明)
  • 品質システム・規程類の見直し
  • 監査指摘事項のフォロー状況確認

特に、顧客クレーム対応が重なると、
「社内の各部署を動かして、期限までに回答を出す」PM的な働き方になります。


品質保証の転職市場と年収イメージ

品質保証は、特に以下のような業界でニーズが高い職種です。

  • 自動車・自動車部品(サプライヤー含む)
  • 医療機器・製薬
  • 電機・電子部品・半導体
  • 精密機器・産業機械

年収レンジの目安としては、

  • 20代:380〜650万円前後
  • 30代:500〜1,000万円前後
  • 40代以降:600〜1,500万円前後(管理職クラスはそれ以上も)

クレーム対応・監査対応を任されるポジションは、
会社の信頼・売上に直結する責任の重い仕事であるため、
中堅〜ベテラン層での採用も比較的多い職種です。


転職市場で評価されるスキル・経験

品質保証で評価されやすいポイントの例です。

  • 顧客クレーム対応の経験(どの業界・どの規模の顧客か)
  • 不具合解析〜再発防止策の取りまとめ経験
  • 顧客監査・第三者認証(ISO・IATFなど)への対応経験
  • 品質マネジメントシステム(ISO9001など)の運用経験
  • 海外顧客・海外拠点とのコミュニケーション経験(英語など)

特に、中途では次のようなエピソードがあると強いです。

  • 「○○のクレームに対し、社内調整〜顧客説明まで一貫して対応した」
  • 「監査指摘を○件→○件に減らした」
  • 「品質システム改訂プロジェクトに中心メンバーとして関わった」

品質保証に向いているタイプ

品質保証に向いているのは、例えばこんなタイプです。

  • 事実関係を冷静に整理し、論理的に説明するのが得意
  • 社内外の立場の違いを理解しつつ、落としどころを探るのが得意
  • 感情的な場面でも、折れずに対応できる粘り強さがある
  • 規格やルールを読み解き、仕組みに落とすのが好き
  • 「なぜこのルールが必要か」を考えるのが好き

クレーム対応など、精神的にタフさが求められる場面もある一方で、
会社の信用を守る“最後の砦”としてのやりがいも大きいポジションです。


他職種から品質保証へのキャリアチェンジ

品質保証へは、次のような職種からのキャリアチェンジ例がよく見られます。

  • 品質管理・検査・評価
  • 生産技術・製造技術
  • 設計(顧客対応が多めのポジション)
  • 営業技術・FAE(顧客と技術的なやりとりをしていた人)

その場合は、

  • 技術面・製品面の理解
  • 顧客との折衝経験
  • トラブル時に関わった経験

などを軸に、

「これまでは現場や技術側にいたが、今後は品質の“窓口”として前に立ちたい」

というキャリア意図を言語化できると、選考での説得力が増します。


品質保証のキャリアパス

品質保証として経験を積んだあと、キャリアの方向性としては次のようなパターンがあります。

  • 品質保証部門のリーダー・マネージャー
  • 本社品質企画・グローバル品質統括ポジション
  • 顧客側(完成車メーカー・大手メーカー)の品質部門へ転職
  • コンサルティングファーム・認証機関などへのキャリアチェンジ

品質保証は、

「技術理解 × ビジネス理解 × 品質システム × コミュニケーション」

という、かなりバランス型のスキルセットが身につくポジションです。


🔍 自分の品質保証経験が、
どの業界・どのポジションで一番価値を発揮できるのか知りたい方、
あるいは「QCからQAに行くべきか」「別のキャリア軸に広げるべきか」悩んでいる方は、
キャリア相談 で一緒にキャリアの棚卸しと今後の選択肢を整理していきましょう。

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