生産技術とは?メーカーにおける役割
生産技術は、簡単に言うと
「設計された製品を、工場でムダなく・安く・安定して作れるようにする仕事」
です。
設計が「何を作るか」を決める仕事だとすると、
生産技術は「どうやって作るか」を決めていくポジションです。
- 新しい製品を量産するためのライン立ち上げ
- 設備・治具・工法の選定・設計
- 生産性・品質・安全性・コストの最適化
などを通じて、工場全体の「モノづくりの仕組み」を作っていきます。
生産技術の具体的な仕事内容
会社や業種によって呼び方や担当範囲は変わりますが、典型的な業務は次のようなものです。
1. 新製品の量産立ち上げ
- 設計部門から図面・仕様を受け取る
- どんな設備・治具・工法なら安定して作れるか検討
- ラインレイアウト・人員配置・タクトタイムの試算
- 試作・量産トライでの不具合つぶし
ここでは、「開発のコンセプト」×「工場の現実」 の両方を理解しておく必要があります。
2. 設備・治具・工法の検討・導入
- 新規設備の仕様書作成・メーカー選定・見積評価
- 既存設備の改造・能力アップ
- 作業者が使いやすい治具・工具の設計・手配
- 溶接・プレス・切削・組立などの工法検討・条件出し
「設備メーカー任せ」ではなく、
工場視点で「本当に使える設備か」を見抜く目も求められます。
3. 生産性向上・コストダウン
- 作業時間測定(ストップウォッチ・ビデオ分析など)
- 動線・レイアウトの改善
- 自動化・省人化(ロボット・搬送装置・画像検査など)の導入検討
- 材料ロス削減・段取り替え時間短縮
数字で見ると、
- 生産性○%アップ
- 工数○分削減
- 不良率○%→○%へ改善
といった「成果」に直結しやすいのが、生産技術のおもしろさです。
4. 品質・安全・環境対応
- 作業標準書・検査標準書の作成・改訂
- 工程内不良・クレームの原因調査・再発防止策
- 安全対策(危険源の除去・防護カバー・ポカヨケなど)
- 環境規制への対応(騒音・排気・廃棄物処理など)
品質保証や安全衛生の部門と連携しながら、
「事故が起きない」「不良が出にくい工程」の仕組みづくりをします。
1日の仕事のイメージ
生産技術の1日は、設計職よりも「動き」が多くなりがちです。
- 午前:
- メール・進捗確認
- 工場の現場で設備の様子・不具合の確認
- 設計・品質と打合せ
- 午後:
- CADで治具・レイアウト設計
- 設備メーカーとの打合せ(仕様・納期・コスト)
- 試作トライ・量産トライの立ち会い
1日の中で「現場にいる時間」と「デスクワーク(設計・資料・検討)」が
どちらも発生する、かなり動きのある職種です。
生産技術と似た職種との違い
生産技術は、次の職種と混同されがちなので、違いをざっくり整理しておきます。
- 製造オペレーター
→ ラインで実際に作業・操作をする人 - 生産管理
→ 「いつ・どれだけ作るか」を計画する人(計画・在庫・納期の管理) - 設備保全
→ 設備が故障しないように保守・点検する人 - 生産技術
→ 「どんな設備・工法・レイアウトで作るか」を考え、
仕組みそのものを設計・改善する人
どちらかというと、生産技術は
「現場に出入りしながらも、設計・企画寄りのポジション」です。
生産技術の転職市場と年収イメージ
生産技術は、多くのメーカーで慢性的に人材不足になりがちな職種です。
- 自動車・自動車部品
- 電機・電子部品・半導体
- 機械・FA・ロボット
- ゴム・樹脂・素材・化学
など、ほぼ全ての製造業で生産技術ポジションの求人があります。
年収レンジのイメージ(あくまで目安)は、
- 20代:400〜700万円前後
- 30代:500〜1,000万円前後
- 40代以降:600〜1,500万円前後(係長〜課長クラス)
といったケースが多く、
- 新規立ち上げ経験
- 自動化・省人化のプロジェクト経験
- 海外工場の立ち上げ・指導経験
などがある人は、より高いレンジを狙いやすい職種です。
転職市場で評価されるスキル・経験
生産技術の転職で、よく評価されるポイントの例です。
- 新規ライン・新規設備の立ち上げ経験(規模・役割)
- 工法(切削・プレス・溶接・樹脂成形・組立など)に関する知識・経験
- 自動化・省人化の導入経験(ロボット・搬送装置・画像検査など)
- IE手法(動作分析・ラインバランシング・タクト短縮)の実務経験
- 不良率・工数・コストの改善実績を数字で語れること
- CADでの簡単な治具・レイアウト設計スキル
特に、中途採用では、
「どの工程で、どんな課題を、どう解決してきたか?」
を具体例で説明できるかどうかが大きな差になります。
生産技術に向いているタイプ
生産技術は、例えばこんなタイプに向いています。
- 現場を歩き回りながら、改善点を見つけるのが好き
- 手を動かして考えること(試作・治具づくりなど)が苦にならない
- 数字を見ながら、地道に改善を積み上げるのが好き
- 設備・機械を見るのが好き(構造・動きに興味がある)
- 人と話しながら、「こうしたらもっと良くなる」を形にしたい
逆に、
- ずっと静かなオフィスにこもっていたい
- 汚れ・油臭い環境がどうしても無理
という場合は、生産技術よりも設計・IT寄りの職種の方が合うかもしれません。
他職種・未経験から生産技術へ転職できるか?
次のようなバックグラウンドの人は、生産技術への転職余地があります。
- 製造オペレーター・現場リーダー
→ ラインの段取り・改善をしてきた経験がある - 設備保全
→ 設備の構造・故障モードをよく理解している - 品質保証・品質管理
→ 不良解析から工程改善に踏み込んできた経験がある - 機械系・電気系設計者
→ 製造現場に寄った設計をしてきた or 現場に興味がある
その場合は、
- IE・品質工学などの基礎知識
- ExcelやPowerPointでの簡単なデータ集計・資料作成
- CADでの簡単な治具設計 など
を身につけておくと、「生産技術として育てたい人材」として見てもらいやすくなります。
生産技術のキャリアパス
生産技術として経験を積んだ後、キャリアは大きく分けて次の方向に広がっていきます。
- 生産技術のスペシャリスト(特定工法・設備の第一人者)
- 生産技術チームのリーダー・マネージャー
- 工場長・拠点長候補として、工場全体のマネジメントへ
- 工場DX・スマートファクトリー推進ポジションへのシフト
- 設計側や設備メーカー側(FAメーカーなど)への転職
特に最近は、
生産技術 × DX(IoT・データ活用・自動化)
の掛け算ができる人材の価値が高まっています。
🔍 自分の生産技術の経験が、
どの業界・どのポジションで一番評価されそうか知りたい方、
あるいは「設計・品質・DX寄りなど、どの方向にキャリアを切るべきか」迷っている方は、
キャリア相談 で、経験の棚卸しと方向性の整理を一緒に行っていきましょう。

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